春のしるしとアスパラガス

#ガーデニング #ヨーロッパ #暮らし #安田和代

2025/04/2379 Views

writer:安田 和代(やすだ かずよ)
ロンドン在住の日本人編集者/ライター。昼は本を編み、夜は毛糸を編み、週末は畑で有機野菜を育てる日々。読書、写真、畑しごと、発酵食品&保存食づくり、編みもの、ポッドキャスト「試運転(仮)」、通信制大学で食物学の勉強など、あっちもこっちも。

頬をなでる風に暖かさを感じる季節がやってきました。
畑しごとも、いよいよこれからが本番です。

春のしるしは、どこから?

英国では、3月の終わりに冬時間から夏時間へと切り替わり、1時間時計の針を進めます。
つまり、6時だった日没が7時となり、日が1時間のびるということになります。

とたんに夕方にも畑仕事ができるようになり、これまで畑を休めていた人々も、せっせと外で世話をするようになり、菜園に活気が戻ってくるのです。

少しずつ春の気候へと移行していくなかで、自然界も日に日に変化を見せてくれます。
オレガノやレモンバーム、チャイブやニラなどハーブがふさふさと茂り始め、イチジクの実もゆっくりとふくらんできます。
ラズベリーは放っておくと、地下でどんどんその領域を広げていき、気づくととんでもなく畑の真ん中から、ひょっこり芽を出すこともあるので、掘り起こして余計な根を取り除き、コントロールします。

2月に種を入れた苗もどんどんと大きくなり、家の窓際から温室へとお引っ越し。
さらに、カボチャやズッキーニなどの大きな芽も芽吹き始め、温室がすっかり手狭になっていくのです。

植物の息吹を感じつつも、まだまだ収穫物は少ない季節。
そんななかで、毎年春の到来を伝えてくれるのが、アスパラガスなのです。


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あまり知られていないアスパラガスの生態

うちの畑のアスパラガスは、8年ほど前に植えたものです。
あまり手入れが上手ではなく、またうっかり根を掘り起こしてしまうなど、致命的な失敗も重なり、状態はよいとはいえませんが、それでも毎年毎年、わずかながらも収穫させてもらっています。

野菜のなかには、収穫後すぐに調理することが、美味しさの決め手となるものがいくつかありますが、アスパラもそのひとつではないかと、私は思っています。
調べたところ、トウモロコシと同様、アスパラも収穫後に激しく糖度が減少していくとのこと。
たしかにとれたてを蒸して食べると、本当に本当に甘いのです。

アスパラガスは、通常、種から育てるのではなく、「クラウン」と呼ばれる根っこを地面に入れて育て始めます。
というのも、アスパラガスには雌と雄があり、食用に向いているのは雄と言われています。
種から育てる場合、その種が雄なのか雌なのか判別できないため、しっかり育って雄とわかっているクラウンを購入する方が効率がよいのです。

アスパラガスは、一度植えると、ちゃんと手入れをしていれば20年は同じ場所で収穫できるといわれています。
逆に植え替えのストレスには弱いので、「ここで20年収穫するぞ」と心を決めて植えなければいけません。
手入れといっても冬の間に馬糞をたっぷり載せておけば、春の訪れと同時に、小さな頭が地表に現れるので、とても優秀な野菜です。

ちなみに、ホワイトアスパラガスは、あえて地表に出さずに地面の中で育成する栽培法で、生産されます。
つまり光合成ができないので緑にならない、ということなんですね。

アスパラの収穫は、夏至とともにストップすることが推奨されています。
その後もまだポコポコ芽は出てくるのですが、これは収穫せずに放置するのです。
やがてアスパラの先っぽの部分が開いてシダ状の葉が開きます。
するとここから光合成を行い、エネルギーを根っこにため込んで、翌年の収穫へと備えるのだそうです。

「まだ出てきているのに、収穫しないの? もったいない!」などと、夫は嘆きますが、ぐっと我慢。
それが翌年の収穫へとつながるのですから、楽しみは先にとっておきましょう。

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