夏の畑の三人姉妹

#ガーデニング #ヨーロッパ #暮らし #安田和代

2024/08/2863 Views

writer:安田 和代(やすだ かずよ)
ロンドン在住の日本人編集者/ライター。昼は本を編み、夜は毛糸を編み、週末は畑で有機野菜を育てる日々。読書、写真、畑しごと、発酵食品&保存食づくり、編みもの、ポッドキャスト「試運転(仮)」、通信制大学で食物学の勉強など、あっちもこっちも。

いよいよ、ロンドンでも夏野菜が色づく季節。
毎日の収穫を楽しみつつ、秋の恵みへの期待がさらに高まります。

ヘリテージ・トマトのパワー

8月に入って、ようやくロンドンでも最高気温がコンスタントに20℃を超すようになりました。
それまで、緑の実を重そうにぶら下げていたトマトも、ようやくひとつ、またひとつと赤くなり始めます。

今年も7種類ほどのトマトを育てていますが、そのなかで嬉しい驚きだったのが、ヘリテージ種の黒いトマトと黄色トマトです。
黒トマトは皮が薄く、ねっとりとした食感。黄色トマトは小さいながらも甘く、この2種類が入ると、サラダがパッとカラフルになります。

ヘリテージ種というのは、品種交配されていない固定種のことで、トマトの場合は、でこぼこしたかたちや、黄色や紫など、カラフルなものが多いのが特徴です。
近年、SDGsの流れもあり、サステイナブルに自家採種することが推奨されていますが、品種交配された種で育てた野菜からは基本的に採種することができません。
もっと正確に言うと、採種することはできるのですが、その種から育つ野菜の性質が保証されないのです。
対して固定種の場合は、採種した種から翌年も同じ性質のトマトが育つと言われています。

この黄色トマトの種は、春先に近所の園芸施設で開催された、種の交換会でもらったもの。
採種の仕方がまずかったのか、小さなコピー用紙に貼りついた4つほどの種を、「もしかしたら芽が出るかもしれないから、どうぞ」と手渡され、ダメ元で植えてみたところ、見事にすべて発芽。
自然の力にはいつも感嘆させられます。
今年はわたしも、はじめて採種に挑戦してみようと考えています。

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幅をきかせる仲良し三人姉妹

夏野菜の定番、ナスやピーマン、シシトウ、キュウリ、ズッキーニ、花豆などが、次々と実を結んでいくなかで、毎年もっとも広い面積を必要とするのが、カボチャです。

今年も畑の真ん中にドーンと幅をきかせていますが、私はカボチャだけでなく、トウモロコシとインゲン豆の一種バロッティ豆を一緒に植えています。
南アメリカでは「スリー・シスターズ」と呼ばれる伝統的な栽培法だそうで、地を這うカボチャが地表からの水分の蒸発を防ぎ、トウモロコシが豆の支柱となり、豆が地中の窒素成分を調整するという、実に理にかなった方法です。

ふたつ以上の特定の植物を一緒に植えることで、害虫を防いだり、地中の状態を改善したりと、利点が生まれる組み合わせをコンパニオンプランツと言いますが、まさにその究極版ですね。

見た目は、畑の真ん中のジャングルのようですが、助け合う三人姉妹。
すでにトウモロコシのヒゲは薄茶色に、バロッティ豆はぷっくりと膨らみ、立派なカボチャも茂みのなかで、すくすくと成長中です。

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