アーティチョークを追いかけてベネツィアへ

#ガーデニング #ヨーロッパ #暮らし #安田和代

2024/07/24211 Views

writer:安田 和代(やすだ かずよ)
ロンドン在住の日本人編集者/ライター。昼は本を編み、夜は毛糸を編み、週末は畑で有機野菜を育てる日々。読書、写真、畑しごと、発酵食品&保存食づくり、編みもの、ポッドキャスト「試運転(仮)」、通信制大学で食物学の勉強など、あっちもこっちも。

ベネツィアというと、すぐに脳裏に浮かぶのは、運河とゴンドラ、サンマルコ広場、美しい仮面のカーニヴァル……。
でも水の都の魅力はそれだけではないのです。

農業の島、サンテラズモ

ことの始まりは、昨年の秋。
春に10粒ほどのグローブアーティチョークの種をまいたのですが、そのなかでひとつだけ明らかに「グローブ」アーティチョークではないものに育ちました。

アーティチョークはアーティチョークなのですが、葉っぱの形も違えば、可食部である花がグローブ型(球状)ではなく、縦長のチューリップのよう。
これはいかに?と、画像検索をしたら、ヒットしたのがヴェネツィアの島のひとつである、サンテラズモで育つアーティチョークでした。

調べたところ、サンテラズモはアーティチョークをはじめ、多くの野菜を栽培する農業の島であり、ヴェネツィア全体の台所的存在とのこと。
日頃から畑仕事にいそしむ身としては、ぜひ行ってみたい、という気持ちをかき立てられます。

島の面積は3.36平方キロで人口が700人、ホテルがひとつ、ショップがひとつ、レストランは3軒ほどあるようです。
野菜を買って、自分で料理したいので、ホテルではなく、Air BnBで小さな家を1週間借りることにしました。

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サンテラズモでサイクリング

サンテラズモは、ヴェネツィアの本島から水上バスに乗って約45分。
直線距離にしたら、たいしたことはないのですが、近隣の島をめぐる航路がくねくねと複雑なので、思いのほか時間がかかります。

島のなかで自動車はほとんど見かけず、交通手段は自転車、または地元の人はオート三輪に乗っています。
借りた家にも、古い自転車が数台置かれていたので、サイクリングでぐるりと島を一周してみました。

あいにく、私たちが滞在した5月末は、すでにアーティチョークの収穫はほとんど終わって、旬を外してしまったようなのですが、それでもまぁ、あるわあるわ。
一見ぼうぼうの草むらのなかに、赤いポピーとまじって、紫色のアーティチョークが顔をのぞかせています。

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島に1軒の小さなスーパーは、平日のみ朝8時から19時までの営業。
とはいえ、13時から16時半までは、しっかりシエスタの昼休みです。
小さいながらも、チーズやハムを扱うデリや肉屋さんも入っていて、日常に必要なものは一通りここで手に入ります。
島にはカフェもパブもないので、島の人々が集うのはおのずとスーパーの前の歩道。
3日もいたら、常連さんの顔は覚えてしまいます。

この小さなスーパーで入手した食材と、農家さんから購入した野菜を中心に、自炊生活を楽しみつつ、近隣の島で外食も堪能できました。

家のオーナーさんが無類の園芸好きで、彼の庭に育つあらゆるハーブを分けてもらえたのも、幸運でした。
さまざまなハーブを紹介してくれるなかで、「これはイタリアではマジック・ハーブと呼ばれている万能薬なんですよ」と言って、ブチッと引きちぎってくれた葉はなにか見覚えのある香り。
得意の画像検索をかけたら、なんとヨモギでした。
後日ロンドンに挿し穂を持って帰り、水に入れておいたら根がでたので、現在鉢で栽培中です。

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ヴェネツィアの島めぐり

滞在中は、水上バスの1週間乗り放題チケットを買って、近隣の島巡りも楽しみました。
本島の観光地はあまりにも人が多く、早々に退散してしまいましたが、少し裏道に入ればのんびりと運河沿いを散歩することができます。

レストランでは、ヴェネツィアならではの、シナモンが香るイワシの南蛮漬け風やイカスミパスタ、そして旬は過ぎたとはいえアーティチョークのスフレなども。
イタリア人の友人たちに言わせると、ヴェネツィアのレストランには入るべからず、とのことですが(観光客向けで高い上に味もイマイチとのこと)、それでも美味しいものをたくさん堪能できました。

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ガラス工芸で有名なムラーノ島、カラフルな家が並ぶブラーノ島などは、本島に比べて観光客も少なく、ぶらぶらと歩きながら、アイスクリームを食べたり、買い物したりと、よい休暇が過ごせました。

ヴェネツィアに行かれる機会があったら、ぜひぜひ、本島からちょっと足を伸ばして、近隣の島巡りも楽しんでみてください。

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