デンマークの首都・コペンハーゲンから電車で約30分ほど行ったところに、世界で一番美しいといわれる美術館があります。
今回はその緑豊かな場所に佇むルイジアナ美術館についてお届けします。

緑あふれる環境のなか

「コペンハーゲン中央」駅からから北に向かう電車で約30分ほど行くと、「ルイジアナ美術館」のある「フムベック」という駅に到着します。

このあたりは海岸線にそって美しい港やビーチが点在するとっても自然豊かなエリア。
もちろん「フムベック駅」周辺から美術館に向けて歩く道も、まるで森の中を歩いているかのように思えるほどの緑の多さです。

駅から美術館までの道のりは少しありますが、その緑あふれる環境のなか北欧らしい家々を愛ながらの徒歩は、とっても軽やか。
あっという間に、「ルイジアナ美術館」に到着です。

ルイジアナ美術館

まず迎えてくれるのは、邸宅を改築したという、蔦に覆われたエントランスビル。
とっても小さくて、気取らない面持ちの入り口が、訪れた人を美術館というよりは、誰かのお宅にお邪魔するかのような感覚にしてくれます。

1856年に実業家のクヌード・ヴィ・イェンセン（Kund W. Jensen）が財を投じて設立したこの「ルイジアナ美術館」は、”アートがエリートのものだけではなく、すべての人々に開かれたものであってほしい”という願いのもと作られたとあって、まわりの柵や館内の順路もありません。
子どもから大人まで、みんなが自由に敷地内を楽しむことができる美術館になっているのです。

所有するコレクションにも定評があります。
「ピカソ」「アンディ・ウォーホール」、そしてデンマーク人のアーティストなどの作品を楽しめ、とくに、「ジャコメッティ」の作品が数多く展示されています。

世界中の人を魅了してやまない理由

でもこの美術館が世界中の人を魅了してやまない理由は、その豊富な近代アートコレクションだけではありません。
自然との融合をあらゆる視点から考え設計された建物と、それを取り囲む庭園の美しさもそのひとつなのです。

1950年代に2人の建築家、「ヨルゲン・ボー」と「ヴィルヘルム・ヴォラート」がこの美術館の建設依頼を受けたときから、すでにそのコンセプトは”美術館となる建物をまわりの自然と融合させること”だったとか。
年月をかけて少しづつ増築した過程でもそのコンセプトはしっかりと守られ、広大な庭に建物がバランスよく佇んでいる景観は絶妙で、見る人の心を穏やかにしてくれます。

日本建築のエッセンス

館内はいくつかのパートに分かれています。
そしてそれぞれのパートをつないでいるのが”回廊”。
中でもガラス張りの回廊は、その大きな窓から眺める緑豊かな素晴らしい景観が印象的です。

この回廊を歩いていると、なぜか日本のお寺にいるような気分になります。
それもそのはず。
じつはこの美術館、日本建築のエッセンスをさまざまなところで取り入れているのだそう。
とくにガラス張りの回廊は日本の木造建築を彷彿させてくれます。

建物を囲む広いお庭も、もちろん魅力的です。
彫刻がいたるところに散りばめられ、アートを眺めながら自由に散策できるので、小さな子どもが走り出してもまったく問題なし。
家族でゆっくりと楽しむことができますよ。

人気のカフェも

庭からはそのまま海へ出ることもでき、夏には海水浴をする人もいるそうです。

庭園とその向こうに広がる海を一望できる場所には、大きな窓から差し込む光がとても明るい人気のカフェがあります。
店内にはさまざまな色のアンネ・ヤコブセンの「セブンチェア」が並び、カフェを楽しむ人々にゆったりとした時間を提供してくれています。

カフェの外にもテーブルとイスがたくさん。
夏の晴れた日には大勢の人がここに座りながらランチやコーヒーを楽しみます。
この美術館の常連さんたちはこのカフェにまず立ち寄ってから、美術館を回るとか。
ゆったりとした心でアートを鑑賞できそうですね。

子どものためのウィング

最後に、3階建ての子どものためのウィングも忘れてはいけません。
遊んで、探検して、学ぶことのできるこの場所は、子どもが自由にアートを体験できるスペース。
粘土でいろいろな形を作ってみたり、絵の具を使って絵を描いてみたり、ボール紙で小さな部屋を作ってみたりと、子どもたちの想像力をたっぷりと膨らませてくれる場所となっています。

いかがでしたか？
デンマークを訪れた際には、自然と融合する美しく、そして、すべての人が自由に楽しむことのできる「ルイジアナ美術館」にぜひ足を運んでみてくださいね。