春の黄色い花

#ガーデニング #暮らし #遠藤昭

2021/01/231387 Views

writer:遠藤 昭
メルボルン駐在時、300坪の庭にてガーデニングに目覚め、多数のガーデニングコンテストを受賞。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。

”春は黄色い花からやってくる”

”春は黄色い花からやってくる”と言われますが、確かに、真っ先に咲く「ロウバイ」をはじめ、春は黄色い花が多いようです。

今回はそんな春を告げる”黄色い花”にスポットを当ててみましょう。

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ロウバイ

まずは「ロウバイ」です。

学名:Chimonanthus praecox
和名:ロウバイ(蝋梅)
科名 / 属名:ロウバイ科 / ロウバイ属

「ロウバイ」は名前の通り、ロウで作った造花のような花。
春一番に黄色い花を咲かせ、その高貴な香りで親しまれています。
他の花に先駆けていち早く咲くので、生け花や庭木としても尊ばれています。

中国原産の落葉低木で、日本には江戸時代の初期に渡来したとされています。

「ロウバイ」には大きく2つの品種があり、花の内側が茶褐色をした、いわゆる「ロウバイ」と、花弁すべてが黄色一色の「ソシンロウバイ」があります。
一般に出回っているものには、「ソシンロウバイ」が多いようです。

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樹高は4m程度。
碧空を背景に咲くロウバイはとても美しく、耐寒性、耐暑性ともに強いため、初心者にオススメの花木といえます。
大きくなるので鉢植えには難しく、できれば庭木として楽しむのが良いでしょう。

半日陰から日向で良く育ち、土壌もあまり選ばないのですが、過湿を嫌うため、水はけの良い場所に植えてあげてください。
4~5月の生長期と12月に寒肥を施しますが、化成肥料より発酵油粕がオススメです。

「ロウバイ」は言葉では表現ができないほど、魅力的な香りを放ちます。
ぜひ一度、実際の香りを味わってみて欲しいです。

福寿草

次に春を告げる花は「福寿草」です。

学名:Adonis ramosa
和名:フクジュソウ(福寿草)
科名 / 属名:キンポウゲ科 / フクジュソウ属

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「フクジュソウ」は日本原産で、本州から北海道に広く分布する山野草です。
余談ですが、僕のオヤジの名前が福寿で、僕にとって、とても親しみのある花なのです。

”福寿”というおめでたい名前の為、お正月の鉢ものとして人気があり、東京近辺の自然環境下では、立春ころに開花します。
降雪の季節と重なるため、時として、雪の中から黄色い花を覗かせる、とても素敵な光景に巡り合えることがあります。

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育てる環境は、落葉樹の下や木漏れ日の当たる明るい場所が適します。

鉢植えの場合は、冬、午前中日の当たる場所に置いてあげましょう。
梅雨時期には枯れるので、その後は軒下に移動して、しっかり休眠させてあげると良いようです。
水やりは、”表面が乾いたらたっぷり”という、草花栽培の定石通りです。

ナルキッスス・バルボコディウム

次の黄色い花は、ペチコート水仙と呼ばれる「ナルキッスス・バルボコディウム」です。

学名:Narcissus bulbocodium
その他の呼び方:ペチコートスイセン、原種スイセン
科名 / 属名:ヒガンバナ科 / スイセン属(ナルキッスス属)

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「ナルキッソス」と聞くと、ギリシャ神話の美少年を思い浮かべる方も多いと思いますが、「ナルキッスス・バルボコディウム」はまさしく春一番に咲く美少年です。

この花は原種スイセンの代表種類で、ヨーロッパや北アフリカに広く分布します。
原生地の地中海式気候は、冬に湿潤で夏は乾燥するため、この「ナルキッソス」も乾季明けの秋から葉を伸ばし、早春に黄色い花を咲かせ、初夏には葉を落とし、夏は休眠します。

鉢植えの場合、生育期は日当たりのよい場所で育てます。
冬は厳しい寒さに当たると花芽が傷むので、東京近辺では、南側の軒下など、寒さに当たりにくい場所で育てましょう。
肥料は生育期に2週間に1回、液体肥料を施します。

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ミモザ

さて、次の花はお馴染みの「ミモザ」です。
早春の青空に黄色い可憐な花が舞い、葉も銀葉で明るく美しく、春を感じて心をウキウキさせてくれる大変魅力的な花ですね。

学名:Acacia baileyana
和名:ギンヨウアカシア  その他の名前:ミモザ
科名 / 属名:マメ科 / アカシア属

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日本では、「銀葉アカシア(Acacia baileyana)」が一般的な「ミモザ」として知られていますが、もともと「アカシア」は、実に多くの品種が世界中に分布しています。

実はその多くがオーストラリア原産のオージープランツ!
現地では「ワトル・ツリー(wattle tree)」と呼ばれています。

ボンボリ状の可愛らしい黄色の花と、「ミモザ」という言葉の響きも素敵で、近年、庭木としても人気です。
マメ科の植物なので、痩せた土地でも育つのも魅力ですね。

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菜の花

さて、最後は、誰もが思い浮かべる「菜の花」です。
「ロウバイ」にも負けない程、春の早い時期に咲きだします。

学名:Brassica rapa L.(和種ナバナ) Brassica napus L.(洋種ナバナ)
和名:ナバナ、菜の花
英名:Rape
原産地:地中海等諸説あり
分類:アブラナ科アブラナ属

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「菜の花」は、アブラナ科アブラナ属の植物の一般総称で、地中海沿岸が原産地とされ、日本には弥生時代に中国から渡来し、全国に広がったと言われています(諸説あり)。

春、視界いっぱいに広がる黄色い畑を見ると、日本的なイメージを思い浮かべますが、実は一般的に「菜の花」と言われているのは「西洋ナバナ」。
ヨーロッパやアメリカに広く分布し、主に菜種油の原料として栽培されています。

僕もドイツのドレスデンを旅行中に、実に広域に広がる「菜の花」畑に出くわしました。
見渡す限りに広がる黄色の「菜の花」畑はなかなか感動的でしたが、意外なことに、日本よりも花が小ぶりだったことを覚えています。

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コロナ禍で、家の中に引き籠りがちの生活になってしまいますが、気分転換に近所を散歩してみませんか?
きっと春を告げる黄色い花に出会い、ちょっとだけ元気をもらえるはずですよ。

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