スコットランド・エディンバラの近郊に、「ホープトン・ハウス」という邸宅があります。
今回はその邸宅の魅力についてご紹介します。

貴族階級が所有する中世の邸宅

スコットランドの首都・エディンバラ。
中世の街並みを残す世界遺産の街として、毎年、世界中からたくさんの人々が訪れます。

そのエディンバラから車で30分。
多くの人が行き交う中心街とは打って変わり、自然豊かで広々とした風景が広がりはじめると、堂々とした面持ちの「ホープトン・ハウス」が現れます。

17世紀以来、スコットランドの貴族階級に属するホープトン卿とその家族が所有するこの邸宅は、日本ではあまり知られていませんが、訪れた人が建築、そして自然の両面からたっぷりと楽しめるスポットとして人気があります。
その邸宅の敷地内には庭園や歴史的建造物、そして森や湖が点在し、見どころがたくさん。
最近ではその整った環境がテレビ関係者に喜ばれ、歴史ドラマのロケ地としても使われています。

建設当時の輝きを保つ邸宅の魅力

均衡のとれた美しさと荘厳さが感じられる「ホープトン・ハウス」は、18世紀初頭に建設された、スコットランドを代表するバロック建築の1つです。
その見事な景観と豪華な内装はスコットランドの至宝とも言われています。

建築を手掛けたのは「サー・ウィリアム・ブルース」。
彼は17世紀に活躍したスコットランドの建築家で、エリザベス女王の棺がスコットランドに到着した際に安置された「ホリルード宮殿」や「セント・ジャイルズ大聖堂」の再建など、いくつかの著名な建築物の設計に携わった人物です。

そしてその有名な建築家によって作られた建物の中に一歩足を踏み入れると、そこはまるで中世の世界。
高い天井から吊り下がる豪華なシャンデリアや壁に飾られた数々の美しい絵画、そして荘厳な家具はどれもしっかりと保存され、見学をしていると当時の貴族社会にタイムスリップしたような感覚に。
部屋の細部にわたって施された優雅な装飾、重厚感ある美しさは一見の価値ありです。

なかでも王室や政治家などを招待して晩餐が繰り広げられたというダイニング・ルームや美しい肖像画が部屋のいたるところに飾られたレッド・ドローイング・ルーム、そして品格のある天井装飾と18世紀の絵画や家具が置かれたイエロー・ドローイング・ルームでは、当時の貴族生活の息遣いが感じられ、その華やかな暮らしぶりを垣間見ることができます。

邸宅の地下には使用人のための部屋も。
台所には当時の使用人が使っていたものなどが展示されていて、贅を尽くしたホープトン一家のための部屋との対比がとっても興味深い。
貴族の邸宅とその家族、そして使用人の人間模様を描いたイギリスのドラマ「ダウントンアビー」さながらの、中世の上流、貴族階級の邸宅を見学することで、イギリスの歴史に対する私の知識が、また少しだけ深まった気がします。

広大な敷地に広がる大自然を満喫

そして、その華麗な邸宅もさることながら、ここ「ホープトン・ハウス」のもうひとつの魅力はさまざまな植物や木々を楽しむことができる広い庭園。
フォース湾を望む100エーカー以上にもなるこの庭園には海沿いの散歩道とスプリングガーデンを楽しむ散歩道があり、海を背景に四季折々の草花や木々の変化を楽しめると、自然愛好家も訪れるそう。

春には「スノードロップス」や「水仙」、そして「ブルーベル」が咲き乱れ、夏が訪れるとツバメが芝生の上を飛び交う、そして秋には黄色やオレンジに色づいた「スイートチェスナッツ」や「ブナ」の木々を楽しむことができるとか。
実際に私たちが森を散歩をしたときも、キラキラと輝く歴史ある木々やハーブや小さな草花に出会うことができ、自然が生活のすぐ隣にあることの大切さをあらためて感じることができました。

さらに、この庭園のまわりにはホープトン保存財団が所有する広大な敷地が広がります。
そしてその中には自然保護区に指定されている場所も。
シカやカワウソなど多くの野生動物が生息し、その動物たちの暮らしと様子を鑑賞するために、ツアーを頼むこともできるそうです。

中世の趣を味わいながら自然も満喫できる「ホープトン・ハウス」とその庭園。
この広大な敷地を思いっきり楽しむには、再訪するのが必須！
また日を改めて、家族と訪ねてみたくなりました。